息子の手術体験3:再癒着が判明して再手術

生後2か月。舌が再癒着!?

やはり問題は耳鼻科系では……(喉がゼロゼロ言う症状も続いていたし)ということで、今度は向井先生のお弟子さんにあたる先生が都内にいると紹介され、都内の耳鼻科(桑島耳鼻科。現在、ここで舌癒着症の治療をしていた山西先生は独立して開業されています)へ行くことになりました。

すると、いちど手術した舌が再癒着しているとのこと。向井診療所では術後1か月の検査でも異常なしだったのに……と言ったのですが、その後に再癒着したのでしょうと言われました。

授乳中の血中酸素飽和度を見てみると、最高でも97%程度で、時には92、3%になることも。正常な子は98~99%といういことですから、明らかに問題です。最初の手術である程度は改善したものの、舌の使い方が下手でうまく動かせないままだったので、かなりの部分が再癒着してしまっていたようです。

再手術するかどうかは親の判断しだい、と言われましたが、あの酸素飽和度の数字まで見せられて手術を拒否する理由がありません。すぐに手術をお願いしました。

生後3か月になる1週間ほど前に再手術。翌日の検査では、舌をかなり強く引き剥がして再癒着を防ぎます。いやー、あんな剥がし方は素人が自分の子どもになんてできませんわ……。大岡越前なら、ここまで剥がせない方を本当の親認定するはずです(妻談)。向井診療所でもこのレベルで剥がすことを求めていたのなら、そら無理やで……と思いました。なぜか関西弁で。

山西先生にはその後も風邪をひいたときなどにたびたびお世話になっていますが、息子はすっかり顔を覚えて、先生の顔を見るだけで号泣するようになってます。

手術後は、肌の色が良くなり、大理石様皮膚やチアノーゼも、ほどんと見えなくなりました。でもまだおっぱいやミルクはあまり上手に飲めないし、体重もそれほど増えていません(この時点で4,000g前後)。


恐怖の3か月児検診


3、4か月児検診の期日が迫ってきていました。私は行かなかったのですが妻は前からかなり心配していて、案の定大変な目にあって帰ってきたようです(が、覚悟をしていたので予想以上のダメージではなかった様子でした)。

この検診では赤ちゃんの発育(体重の増え具合)を見て、問題アリとなった場合は母親に栄養指導などをするそうですが、あまりに発育が悪く、疑り深い職員に当たった場合には、虐待が疑われて母子が引き離され、強制入院となってしまうケースもあるんだとか。わが家では幸いにもそこまでひどい職員に当たることはなかったのですが、それにしても栄養足りてないぞ親は何やってんの、的なことを言われたそうです。

具体的には、こんな感じだったそうです。

・身長体重、頭囲胸囲の測定、小児科医の診察、保健婦の育児相談と、流れ作業で係りの人に息子を渡すたびに「あら? 小さいのね。産まれたとき小さかったの? (問診表をみて)むしろ大きかったのに!?」と、親は何をしているの、とでも言いたげな目で見られた
・小児科医と保健婦に舌の手術を伝えると、「ああ~…」とやっちゃったのね的ため息をつかれた
・同じ月齢の子たちのぷくぷくぶりを見てへこんだ
・帰りに、しつこく保健所の育児相談や診察を受けるようすすめられた

現在の赤ちゃんの発育基準というのはミルク育児が基準で栄養過剰気味である、とのことですが、まあそれにしても息子の発育が悪かったのは事実でしょう。親のアレさが原因で育たない子を出してはいけない、という行政の立場も想像できますが、結果の数字だけ見てできる努力はちゃんとやってる親を凹ましてどうするよ、という気分でもあります。困ったもんです。


ようやく体重5,000gを超えて体力がついた!


この頃、妻は、いつも「体重が5kgを越えれば力もついておっぱいが飲めるようになる」ということを言っていました。私はあまりこの根拠を理解できていませんでしたが、確かにそうなりました。

体重が4kg台後半になった頃からミルクを飲む速度も上がり、40~50分かかっていたのが20分ぐらいに、やがて10分そこそこで飲めるようになりました。きっと、おっぱいを飲むのも同様に上手になっていったと思います。

後に私自身も手術をして経験したのですが、舌の手術後の違和感というのは、けっこう後まで(1か月以上も)残ります。二度目の手術は「手術をしたらすぐにおっぱいが飲めるようになって体重もぐんぐん増える」ということを期待していたのですが、そもそもそういうものではなかったようです。手術直後は前よりもおっぱいを飲むのが下手になり、その後、徐々にうまくなっていくそうです。

また、舌癒着症の手術は第一に呼吸の改善が目的であり、「すぐに体重が増える」という期待は、そもそも過剰というか目的外というか、的外れなものであった、といえます。


7か月検診。舌癒着症に理解のない小児科医でまたもやひどい目に

母子手帳には成長曲線を書く欄がありますが、7か月ころになると、それまでずっと体重の正常範囲を下回っていた息子の体重が、範囲内の下の方に入るようになりました。なので、7ヶ月児検診のときには、妻は何の心配もせずに、近所の小児科へ行きました。

ところが、その小児科は舌癒着症に否定的な医師だったので、病歴として舌の手術をしたことを伝えると態度が一変! 範囲内とはいえまだまだ痩せすぎ赤ちゃんだったのもあってか、まるで子供を虐待したかのような態度を取られたそうです。

その時には、またまたかなり凹んだようですが、後から別の小児科にかかったところ、いろいろと古い情報のまま診察している先生(予防接種後の指示が違っていたり)なのだとと解りました。

舌癒着症については否定的な小児科医が多いと聞いていたので、息子が体調を悪くしたときや三種混合ワクチンなどの予防接種を受けるときも、妻はそれぞれ違う近所病院に行って、舌癒着症に理解のある、安心してかかりつけにできる病院を探していました。その結果、大きな病院や新しい病院の比較的若い先生のほうが理解があるようだ、という傾向が分かってきました。

中には舌癒着症の手術をしたと聞くと、手術ができる病院を紹介してほしいと言ってくる先生もいたそうです。


9か月検診は余裕でクリア

生後半年頃から離乳食を食べ始め、7か月になってハイハイをするようになったら、体重が増えるペースもかなり上がりました。体力がついたぶんいろいろ大変になった面もありますが^^; やっぱり元気なのはいいことです。9か月児検診時には、発育状態はほぼ平均レベルになり、知的発達も問題なし。先生に褒められるレベルになりました。


まとめ


他の方の舌癒着症手術体験記には、原因不明のひどい症状に何年も悩まされてきた家族が「舌癒着症」という病気を知り、手術を受けたことで劇的に改善した……というドラマチックな話もあります。でもわが家の場合は、幸いにも、そこまで大変なことはありませんでした。

ひどい湿疹とかアレルギーといった分かりやすい症状もなく、呼吸が改善したらしい様子や、顔つきの変化などは見ていますが、いずれも微妙な変化です。また、生まれてからほんの3週間で手術をしてしまったので、術前・術後の比較があまりできていません。

こういう認識は、舌癒着症治療に関するひとつの落とし穴だ、ともいえそうです。手術後の見た目の状態の変化というのは、気を付けてよーく見ていないと分からないもので、2回の手術とも、術前・術後の変化については妻に聞かないと分からなかったこと、先生に聞いて初めて気づいたことが多くありました。

おそらく舌癒着症の治療にあたっては「観察力」があった方がいいです。わが家ではできなかったのですが、手術前後の顔つき、泣き声、寝ている姿勢などの変化を見るために、写真やビデオを撮っておくのも良いのではないかと思います。

もうひとつ「想像力」も重要です。私たちはみんな、生まれてからこれまで、自分の呼吸器でしか呼吸をしたことがありません。だから「今の状態の呼吸は不十分です。手術をすればもっと呼吸できるようになります」と言われて、その状態をうまく想像できるでしょうか? 私は、自分自身が手術をして「もっと呼吸できる状態」を実感するまで、そこについてはずっと半信半疑というか、イメージできないままでした。

最後に、息子の場合は骨盤内の血流の悪さなどの問題もあったし、舌癒着症の手術だけで、全ての問題は解決しなかっただろうと思います。また、おっぱいを吸う力などは成長して体力がつくことも必要で、やはり舌の手術をしたら劇的に成長が促進する、というものでもないようです。逆説的にいえば、舌癒着症を認めない医師の「舌の手術をしなくても成長によって諸症状は(ある程度)改善する」という見解も、そういう意味では正しいのでしょう。

だから、舌癒着症の手術に過剰に期待しすぎないことも大事だと思います。また一方で、手術によって呼吸が改善することは、長期的に見ればあらゆることを少しずつ良い方向に持って行ってくれる、という考え方もできます。

何しろ「衣食足りて礼節を知る」以前に「呼吸」が足りていないわけですから、まずはこれを改善してあげることが、ゆくゆくは「礼節を知る=将来の社会生活の充足」にもつながる、と思っています。


妻のコメント:
3600gで産まれた息子の体重が3200gを割ったときの衝撃は、今もよく覚えています。

体調を崩すたびに後ずさりながら、それでも少しずつ体重が増えていき、4,000g、5,000gと壁を越え、そのたびに「ああ、もうこれで大丈夫」と思いながらも安心できないままでした。

6,000gを超えてからは長い停滞期になりましたが、離乳食を初め、ハイハイが始まってから急激に増えるようになりました。 後になって6k台のよその赤ちゃんを抱っこすると、あまりの軽さに驚きます。身体が息子の重さに慣れちゃってるんですね。

長い間心配してきましたが、今思えば体重が軽かった分、たくさん抱っこできてよかったと思います。(今も抱っこしまくりなんですけれど)

今、出かけた先の授乳室や児童館などで、同じ乳児連れのお母さんとお話する機会がよくあります。

お互い育児についていろいろな悩みを持っていますので、初対面でも話は尽きないのですが、見ていて「この子は舌癒着症なんじゃないかしら?」と思うことがあります。

でも、いきなり「舌癒着症なのでは?」なんて聞けないので、話の流れで機会があれば自分から「うちの子は…」と話すようにしています。 わが子が可愛いのはみんな同じだし、健やかな成長を願うのも同じです。

私達家族と同じような悩みを持ちながら、舌癒着症のことを知らないで悩み続けるのと、知ってはいるけど様子を見るのとは違うと思います。

どうかたくさんの人に舌癒着症のことを知ってほしいと思います。


最後に抱き癖についてですが、「抱き癖」が治すべき問題だとすると、再手術後もあんまり治っていません。4か月頃までレンタルしていたベビーベッドはほとんど出番がありませんでしたし、今でもベビーカーにあまりおとなしく乗っていてくれず、出かけるときは抱っこが多いです。

とはいえ、これは同じ「抱き癖」にしても質が違うんですね。舌癒着症に起因する場合は「呼吸が楽になる姿勢で抱かれていないと息ができないから」抱っこを求めるのであり、親に甘えて抱っこをねだっているのとは違います。

そして、わが家では「子育てハッピーアドバイス」という本を読み、親に甘える抱き癖は問題ではない。求められる限りは抱っこしてあげよう、という考え方でいますから、これはこれで問題ないと考えています。腰が痛いですけど(特に妻の)。