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舌癒着症の治療

わが家の場合を元に、舌癒着症の治療の流れについてまとめます。おおまかな治療(=手術)の手順、スケジュール、予算など把握するのにお役立てください。具体的な治療法や治療費については、個々のケースによって変わると思います。病院にてご確認ください。


生後3か月までの赤ちゃんなら、手術は数分で終わります


舌癒着症の手術は、舌の裏にある舌小帯(ぜっしょうたい)と、その奥の「頤舌筋(いぜつきん)」を切除します。いぜつ筋は舌の左右に3層ずつあり、赤ちゃんの場合は浅く(だいたい1層だと思われます。深く切らない理由は、いぜつ筋の奥に太い結果があって危険なのと、赤ちゃんの場合は浅く切っただけでも喉頭の状態が正しく戻りやすいからのようです)、大人の場合は深く3層まで切ります。

赤ちゃんの場合、生後3か月ぐらいまでなら局部麻酔で手術を行い、5分もかからずに完了します。3か月ぐらいまでの月齢であれば手術の際に体を押さえて安定させることが容易ですが、それ以上になると力が強くなり、押さえることが難しくなるため全身麻酔を使用します。このラインは明確に「3か月」と決まっているわけではないようですので、局部麻酔による手術が可能かどうかは相談してみてください。

舌小帯のほか、上唇小帯(上の歯茎と上唇の間にある小さなヒダ)を同時に切除することもあります。


治療費について


現在のところ、舌癒着症の手術は保険が効きませんので、自費となります。乳幼児の医療費が無料になっている自治体でも、保険外診療は無料の対象外となります。赤ちゃんの局部麻酔を使った手術費用は、おおむねどこでも3万円のようです。

哺乳障害や発音障害が認められる、“一般的に認識されている舌癒着症"の治療(主に口腔外科での)では、保険適用になるようです。その場合、喉頭のゆがみを直して呼吸を改善することを目的として手術にはならず、舌の動きのみを改善するため浅く切る手術になるようです。このあたりは病院によって判断がいろいろ違うようですので、あらかじめ、

・呼吸の改善が期待できるか? それとも舌の動きだけを改善するのか?
・いぜつ筋まで切るのか、もっと浅い部分までしか切らないのか

よく確認しておくと良いでしょう。


治療を受けるには


まず、舌癒着症の治療を行っている病院に連絡し、予約を取ります。近所であれば診察と手術を別の日にしても良いですが、向井診療所などでは遠方からの患者の受け入れも多いため、手術可能な日に予約を取り、その日のうちに診察-手術を受けます。

赤ちゃんの手術では、日頃のお世話用品のほかに、以下のものが必要になります。

・お薬用のスポイトなど:手術後、感染症を防ぐための抗生剤を飲ませます
・ミトン:口の中に手を入れてしまうのを防ぎます。きれいな靴下でも代用可です

なお、手術の翌日に検査を受ける必要があります。遠方からの場合は、事前に宿泊施設を予約しておく必要があります(わが家が向井診療所で手術を受けたときには、当日の昼過ぎで大和第一ホテルが取れました)。


手術後の検査


手術の翌日、1週間後、1か月後の3回、経過の検査を受けます。舌の状態や気道の状態、酸素飽和度などを確認し、感染症などの異状がなければ、すぐに検査は終了します。

舌癒着度について

舌癒着症の程度が測定され、度数として示されます。

詳細は調査中です。

こんな感じのようです(参考)。

●舌小帯の付着位置
膜3度 舌小帯が下顎歯肉内縁から始まっているもの
膜2度 舌下小丘から始まって舌先端部に付着しているもの
膜1度 舌下小丘から始まって舌尖2分の1以下で終わっているもの
膜0度 舌小帯が無し、もしくは瘢痕のみ

●舌の自由部の始まる位置
底3度 舌底部が舌下襞から始まっているもの
底2度 舌底部が舌下襞から5mm以内離れているもの
底1度 舌底部が舌下襞から5mm以上離れているもの

治療の前に心得ておきたいポイント

舌癒着症の治療をするにあたって、あらかじめ心得ておきたいポイントがいくつかあります。

日本の医学界ではほとんど認知されておらず、反対意見もある病気です

向井医師の定義する「舌癒着症」について、日本の医学界ではほとんど認知されておらず、この手術に反対の医師もいます。

かかりつけの小児科の先生に手術を反対される、ということもあるかもしれません。情報のない家族や周囲の人が反対するかもしれません。そんな人たちの理解を得る手助けに、このサイトがなれれば良いと思います。


手術は保険適用外で、自費診療になります


舌癒着症の手術は健康保険の適用を受けられず、自費診療になります。自治体の乳幼児向け医療補助も対象外です。

手術費用はおよそ、生後3か月ぐらいまでの身体を固定できる赤ちゃんなら局部麻酔で3万円程度、それ以上の年齢では全身麻酔が必要で20万円弱、大人の局部麻酔による手術は10万弱程度になるようです。

哺乳障害や発音障害が認められる、“一般的に認識されている舌癒着症"の治療(主に口腔外科での)では、保険適用になるようです。その場合、喉頭のゆがみを直して呼吸を改善することを目的として手術にはならず、舌の動きのみを改善するため浅く切る手術になるようです。このあたりは病院によって判断がいろいろ違うようですので、あらかじめ、

・呼吸の改善が期待できるか? それとも舌の動きだけを改善するのか?
いぜつ筋まで切るのか、もっと浅い部分までしか切らないのか

よく確認しておくと良いでしょう。


さまざまな症状はありますが、全てが舌の手術で解決するとは限りません


舌癒着症の手術をして、すぐに症状のすべてが解決するとは限りません。徐々に変わっていく人もいれば、ある点においては解決しない、というケースもあるそうです。わが家の息子の場合のように、別に原因がある場合や、全身の成長が伴わないと解決しない場合もあるでしょう。

循環器の疾患が疑われるならまず循環器の、呼吸器が疑わしいなら呼吸器の、皮膚なら皮膚の、それぞれ検査を受けてみるのが良いと思います。舌癒着症の手術に過剰な期待をするべきではないと思いますし、他の原因もきちんと調べておかないと、治療法を誤るおそれがあるでしょう。

一方で、舌癒着症の手術によってさまざまな症状が劇的に改善したという声も確かにあります。他のすべての検査をしても「様子を見ましょう」、「成長すれば治りますよ」といった曖昧な結果しか得られないようなら、舌癒着症の可能性を考えて良いのではと思います。


再癒着のリスクがあります


手術後、適切なケアや舌を動かすためのリハビリができていないと、再癒着を起こしてしまうリスクがあります。わが家でも見事に再癒着しましたが、最初に手術した向井診療所では、このあたりあまり適切な説明をしてくれなかったと思います。

赤ちゃんが舌癒着症の手術をすると、呼吸は楽になりおっぱいの吸い方も変わるのでしょうが、舌の動かし方については、おそらく新しい可動域に合わせて変わる子と、それまでと同じ動かし方しかできない子がいるのだと思います。そして、それまでと同じ動かし方のままでいると、再癒着してしまう、ということなのではないでしょうか。

通常、手術の翌日、1週間後、1か月後に検査をしますが、1か月以上経ってから再癒着してしまうケースもあるかもしれません(わが家ではそうだったようです)。手術した直後は良かったけど、やっぱりあんまり効果なかったな……という場合、再癒着の可能性が濃厚だと思います。

赤ちゃんの舌の動かし方を変えるにはどうすればいいのか、はよく分かりません。とりあえずは、定期的に検査してもらうことと、舌が動いていないようなら無理やりでも動かす(スプーンで持ち上げるとか。指を咥えさせてしゃぶらせるのも有効なのかも??)のが大事になると思われます。


感染症に気をつけましょう


手術後、1週間程度の間は傷口への感染症に注意するよう指導を受けます。赤ちゃんの手にはミトンをはめて、口に手を入れることを防ぎます。また、哺乳びんにもいつも以上に気をつけ、口をつけてから時間が経った哺乳びんを再度咥えさせないなど、気を配りましょう。

おっぱいのケアが必要です

舌癒着症の手術後、赤ちゃんは一時的におっぱいを吸うのが下手になります。そのため、お母さんが乳腺炎を起こしてしまうおそれがあります。

助産師さんに相談して、マッサージなどを受けるようにすると良いそうです。

どこの病院に行けばいい?

赤ちゃん・子どもを病院に連れていくなら小児科が普通ですが、舌癒着症が疑われる場合は、舌癒着症による呼吸障害にについて理解のある医師の元へ行かなくてはいけません。現在のところ、全国に数件しかない病院のうち、いずれかへ、ということになります。

小児科、小児耳鼻咽喉科の場合:小児科学会では舌癒着症を認めない

どうも小児科学会では、「舌癒着症」という病気の存在を認めていないそうです。なので、特に高齢の医師に舌癒着症に無理解な人が多く、わが家でもあったのですが、「舌癒着症の手術をした」というと嫌な顔をされ、ひどい場合には虐待親のような扱いを受けることもあるそうです。

一方で若い医師、研究熱心な小児科医には、舌癒着症に感心を持っている方もいらっしゃるそうです。どう話を切り出したらうまく行くのかちょっと分かりませんが、ちょっと「舌癒着症という病気があるそうですね」などと聞いてみて、そんな病気はない、と否定されるようであれば、その可能性は考えてもらえない先生だな、と判断するのが良いのではないかと思います。

向井医師の文書を見るに、助産師主導の母乳育児に対する対抗心のようなものが小児科学会にはあるのかもしれません。また、明らかに命に関わるわけでないのに(呼吸障害という認識がないため、そう考えている)、自分の意思で手術を判断できない赤ちゃんに手術をすることは良くない、という理由もあるようです。

余談になりますが、医学会や育児産業の政治的駆け引きによる何か、というのは確実に存在するようで、「赤ちゃん学を知っていますか?―ここまできた新常識」という本には、完全母乳を実践したい産婦人科病院は、それまで栄養指導などで世話になった人工乳(ミルク)メーカーとの関係に悩まされることが多い、といった記述がありました。

本などでも、小児科医が書いた育児指導が舌癒着症に言及することは、ほとんどありません。

例えばこの相談事例などは、
新生児のチアノーゼについて教えてください|e-mama

舌癒着症も視野に入れて検討した方が良いように思われますが、回答者は完全無視です。結果、心臓や肺、気管支などの精密検査を一通り受けさせられ、どこも異常ありません原因不明ですねー、となるケースもままあるようです。わが家もそんな診断を受けたことがありました。


スピリチュアルな風に吹かれて:小児科の常識 の巻
こちらは、舌癒着症の治療を行っている奥山医院の奥山先生のブログです。有名な4つの育児書が、舌癒着症の代表的な特徴に対してどのような対処法を説明しているかを調査しています。大まかにいって「無根拠な空想によって『そのうち治る』程度のことしか書かれておらず、全く実用性がない」とまとめられています。

耳鼻科、口腔外科(歯科)の場合:舌癒着症をどんな病気と認識しているかによる

耳鼻科や口腔外科では、舌癒着症という病名はわりと知られているし、使われることもあるようです。

ただし、前述のような舌癒着症をどういう病気と認識しているかの問題があり、単に「舌が短い」のが問題だと認識している医師の場合、呼吸障害に対して十分な治療を受けることはできないと思います。

「舌癒着症=喉頭偏位を伴い呼吸障害を起こす病気」という認識を持って積極的な治療をしてくれる医師は、今のところごく少数のようです。神奈川県大和市の向井診療所のほか、東京、大阪、長崎などに舌癒着症の治療をしてくれる医師がいるようです。

また、治療方法がいくつかあるようで、局所麻酔で日帰り手術ができるケース、全身麻酔で1週間ほどの入院が必要なケースがあり、病院によって異なります。3か月ぐらいまでの乳児は局所麻酔によって5分ほどで手術が完了します。

舌癒着症の手術は自費診療になり、保険が利きません。赤ちゃんの手術では3万円でした。

舌癒着症の手術をしてくれる病院

舌癒着症の手術を行なっていることを確認している病院と、Webサイトで舌癒着症を扱っている病院のリストです。

これらの病院の間でも、治療方針はそれぞれで違うはずです(特に、症状が重度でない場合に手術をするか、しないかの判断などは)。もし、最寄りの病院に相談して納得がいかなければ、ほかの病院にあたることで、より納得のいく治療が受けられる可能性もあります。

いずれも、事前に電話で問い合わせ、予約されることをおすすめします。サイトにメールアドレスや問い合わせフォームがあっても、ネットからの問い合わせに対しては反応の遅い病院が多いです。


■北海道
丸山歯科病院
※サイト上で舌癒着症を重点診療分野としています

■東京都
山西クリニック

■神奈川県
向井診療所


■静岡県
井出歯科医院
 井出医師のブログ
※夏休みと春休みに舌小帯の手術を行なっているそうです

■岐阜県
おかざきまりこクリニック
 病院のブログ
※ブログによると、舌癒着症の手術をしているようです

■大阪府
奥山医院
 奥山医院オフィシャルサイト
 奥山医師のブログ

■山口県
下関市立中央病院
※歯科・口腔外科の案内(ページのいちばん下)に舌癒着症についての説明があります。小児外科でも相談を受け付けているとのことです


■長崎県
原口クリニック
※ホームページは特にないようです。いくつかの体験談で、原口クリニックで手術したという話があります

※他に舌癒着症の治療を行なっている病院をご存知の方は、ぜひお教えください
※一覧からの削除をご希望の場合は、ご連絡ください


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