2007年5月アーカイブ

「山西クリニック」の山西先生のもとに届いたお手紙の中から、公開をご承諾いただいているものをテキスト化し、山西先生の了解を得て、ここに体験談としてご紹介します。個人情報にあたる部分など、一部を改変しています。

山西クリニックのホームページは現在準備中だそうです。連絡先などの情報はこちらのページをご覧ください。

山西先生

昨年の12月に、舌小帯癒着を治して頂く為、手術を受けましたA美の母です。その節は大変お世話になりました。

手術から9ヶ月も経ってしまったのですが、先生にお礼が申し上げたくて、ペンを取りました次第です。

同封しました写真を、順に見て頂くと(注:お手紙に写真が同封されていました)一目瞭然かと思いますが、A美は呼吸が苦しかったのが治り、すっかり元気になりました。食品アレルギーがあり、その結果アトピーという形で炎症が出ていますが、それも手足のみで顔は白く、「色白でかわいいですね」とおっしゃってくださる方もいる位で、9ヶ月前を考えると夢のようです。

手術前は親子共々つらい日々が続いていました。朝起きると機嫌がいいのですが、段々と時間が経つにつれ、呼吸がつらいせいでしょうか機嫌が悪くなり、午後にはぐずってばかり。夕方には夕食の支度もできない位に泣き続け、仕事から帰ってきた夫と二人で交代で抱っこをして、やっと寝かせるという日々がほとんどでした。

乳児湿疹だとばかり思っていた全身の湿疹は何をつけても治らず、全身をいつもかきむしり血が出ていました。そんな状態ですので、あまり人目につかせるのも気が引けてしまい、私自身ストレスが相当にたまっていました。

何よりも娘がかわいそうで、どうにかしてあげたいのに、何もできず、それがつらかったのでした。

偶然にも、お乳が腫れてしまったのを診て頂いたのが自然育児相談所で、娘の舌小帯癒着が全ての原因であると気づいてもらえ、山西先生を紹介していただけたのは、私達にとって本当に幸運でした。舌が原因だなんて想像もできませんでした。

先生の所に伺った時は、ワラにもすがる思いで、手術に対して抵抗はありませんでした。手術後は1ヶ月すぎるごとに写真をとって、前の状態と比べていましたが、3ヶ月を過ぎた頃から、身体の状態も症状もすごく良くなっていきました。

一番最近の写真を見て頂くとわかりますが、元気そのものです。今は育児をしていても、つらいと思うことはほとんどなくなりました。

これは手術をしてくださった先生のおかげです。


きっと先生のもとへ、同じ症状で訪れる患者さんは多いと思います。どうぞこれからもその方達が楽になるよう、この治療をすすめてあげて下さい。うちの娘のように助けてさしあげて下さい。

本当に有難うございました。

舌癒着症の治療

わが家の場合を元に、舌癒着症の治療の流れについてまとめます。おおまかな治療(=手術)の手順、スケジュール、予算など把握するのにお役立てください。具体的な治療法や治療費については、個々のケースによって変わると思います。病院にてご確認ください。


生後3か月までの赤ちゃんなら、手術は数分で終わります


舌癒着症の手術は、舌の裏にある舌小帯(ぜっしょうたい)と、その奥の「頤舌筋(いぜつきん)」を切除します。いぜつ筋は舌の左右に3層ずつあり、赤ちゃんの場合は浅く(だいたい1層だと思われます。深く切らない理由は、いぜつ筋の奥に太い結果があって危険なのと、赤ちゃんの場合は浅く切っただけでも喉頭の状態が正しく戻りやすいからのようです)、大人の場合は深く3層まで切ります。

赤ちゃんの場合、生後3か月ぐらいまでなら局部麻酔で手術を行い、5分もかからずに完了します。3か月ぐらいまでの月齢であれば手術の際に体を押さえて安定させることが容易ですが、それ以上になると力が強くなり、押さえることが難しくなるため全身麻酔を使用します。このラインは明確に「3か月」と決まっているわけではないようですので、局部麻酔による手術が可能かどうかは相談してみてください。

舌小帯のほか、上唇小帯(上の歯茎と上唇の間にある小さなヒダ)を同時に切除することもあります。


治療費について


現在のところ、舌癒着症の手術は保険が効きませんので、自費となります。乳幼児の医療費が無料になっている自治体でも、保険外診療は無料の対象外となります。赤ちゃんの局部麻酔を使った手術費用は、おおむねどこでも3万円のようです。

哺乳障害や発音障害が認められる、“一般的に認識されている舌癒着症"の治療(主に口腔外科での)では、保険適用になるようです。その場合、喉頭のゆがみを直して呼吸を改善することを目的として手術にはならず、舌の動きのみを改善するため浅く切る手術になるようです。このあたりは病院によって判断がいろいろ違うようですので、あらかじめ、

・呼吸の改善が期待できるか? それとも舌の動きだけを改善するのか?
・いぜつ筋まで切るのか、もっと浅い部分までしか切らないのか

よく確認しておくと良いでしょう。


治療を受けるには


まず、舌癒着症の治療を行っている病院に連絡し、予約を取ります。近所であれば診察と手術を別の日にしても良いですが、向井診療所などでは遠方からの患者の受け入れも多いため、手術可能な日に予約を取り、その日のうちに診察-手術を受けます。

赤ちゃんの手術では、日頃のお世話用品のほかに、以下のものが必要になります。

・お薬用のスポイトなど:手術後、感染症を防ぐための抗生剤を飲ませます
・ミトン:口の中に手を入れてしまうのを防ぎます。きれいな靴下でも代用可です

なお、手術の翌日に検査を受ける必要があります。遠方からの場合は、事前に宿泊施設を予約しておく必要があります(わが家が向井診療所で手術を受けたときには、当日の昼過ぎで大和第一ホテルが取れました)。


手術後の検査


手術の翌日、1週間後、1か月後の3回、経過の検査を受けます。舌の状態や気道の状態、酸素飽和度などを確認し、感染症などの異状がなければ、すぐに検査は終了します。

こちらはスポーツ紙(日刊ゲンダイ)の記事である、という点を割り引いて読んでください。

【すこやか生活術】舌小帯を切除したら塾生徒が有名小にバンバン合格
某お受験塾は生徒に舌小帯切除(舌癒着症)手術を勧め、青山学院や慶応など有名私大付属小学校にバンバン合格させるなど、目を見張る進学実績を上げているという。
 本当にそんなことがあるのか? これまでに200例以上の舌小帯切除手術実績を誇る桑島耳鼻咽喉科医院(東京・高田馬場)の山西敏朗医師が言う。
「舌小帯は舌と下あごをつないでいる筋です。舌小帯切除手術による効果は、アトピーやチアノーゼ、哺乳障害が劇的に改善するなどいくつもありますが、大注目はコミュニケーション能力がアップすること。人見知りが激しく表情の硬かった子がニッコリと笑い、目を合わせて受け答えができるようになるのです。お受験は、筆記試験のほか、会話力も非常に重視されるそうなので、生徒に手術を勧めて成果を上げる塾があっても、不思議ではありません」

「某お受験塾」の名前がなんで出せないんだ(ポジティブな記事なんだから、本当に実在するなら名前を出せば宣伝になるのに)? とか、コメントが紹介されている山西先生によると「こんなことは言ってない(苦笑)らしいけど(特にお受験のあたり)どーなの? とか、スポーツ紙らしいいい加減さたっぷりの記事なんですが、舌癒着症を手術した子どものコミュニケーション能力がアップすることは確かにあるようです。

また、集中力が上がることで勉強にも取り組みやすくなるでしょうから、中学、高校、大学受験を考えても効果的だと言えるでしょうね。


一方でこちらは、朝鮮日報の2002年の記事

「英語発音良くするため舌の手術が流行」
韓国人がアルファベットの「R」と「L」が含まれている英単語を正確に発音できない理由は舌が短いからか。
先月31日付の米ロサンゼルス・タイムズは、韓国で英語の早期教育熱が高まり、英語の発音がきれいになるとの理由で子供の舌の縁を切る、あるいは伸ばす手術が流行していると、ソウル発の記事として報じた。

なんとも出所が微妙なニュースですが、舌小帯の手術で舌を伸ばし、英語の発音を良くすることについて、一定の効果を認めている医師のコメントも紹介されています。が、ここでは呼吸障害を伴う「舌癒着症」としての認識ではなく、ただ「舌を伸ばす」ことだけについて言及されているようです。

ネットで読める舌癒着症の手術体験談

まりもまま - ままとぱぱのページ - 読者相談室
おっぱいとごはん」など育児書の著書をお持ちのまりもまま(竹中恭子)さんのサイト。舌と呼吸を考える会作成「舌癒着症ガイド」の抜粋から、いくつかの体験談が掲載されています。「舌癒着症相談室」も必読です。

エコママ倶楽部 舌癒着症
ブログ「エコママ倶楽部」さんの舌癒着症体験記。ご長男2歳3か月、ご次男9か月のときに舌癒着症を知り、向井診療所で手術をされたそうです。

shou's show health
ご夫婦とお子さんで舌癒着症の説明会に行き、手術を決意し、奥山医院で3人同時に手術されたレポートです。

天使のうたたね 舌癒着症
ご家族全員の舌癒着症手術体験のほか、掲示板に寄せられた情報、向井診療所の詳しい案内などが見られます。

育児日記
作りかけのページのようですが。手術の効果に確信が持てない、小児科の先生に手術をしたことを話したら叱られた、といったエピソードです。


新幹線に乗っていこう!
お父さんによる娘さんの手術体験記です。手術を決めた理由について詳しく書かれています。


炭酸ガスレーザーによる乳児の舌小帯切除の意義 山平義之(秋田県)
体験談ではありませんが、秋田県の歯科医・山平義之先生によるレポートです。

はじめにお読みください

当サイトでは「舌癒着症」という病気についての情報を扱います。

この病気の構造や治療法は、わりとシンプルです。一方で、非常に多様な症状が現れることと、現代の医学界においてかなり特殊な扱いをされている、という特徴があります。そこで、

(1)どんな病気か?
(2)どんな症状があるのか?
(3)どうすれば治療できるのか?

ということを、まずは知ってほしいと思います。


どんな病気?:舌が短くて、呼吸にも悪影響が出てしまいます


「舌癒着症(ぜつゆちゃくしょう)」とは、舌の裏側にある「舌小帯(ぜっしょうたい)」という部分が生まれつき短く、舌が引き攣れてしまい、おっぱいが上手に飲めなかったり、発音が上手にできなかったりします。また、(詳しくは後に説明しますが)呼吸にも悪影響を及ぼします。

同時に、上あごと上唇の間にある「上唇小帯(じょうしんしょうたい)」が短い人も多く、こちらも鼻の通りが悪い原因なっているようです。

周囲の人に「舌が短いね」とか、「舌小帯を切ったらいいんじゃない?」と言われることがあったら、舌癒着症のことを指摘されたと考えられます。

舌が短くておっぱいが飲めない、発音ができないという話までは理解できる。けど、なんで舌が呼吸とも関係あるの? と思った方も多いと思います。


舌癒着症が喉頭偏位(のどの歪み)を引き起こし、呼吸障害を起こす、という指摘を行っているのは神奈川県大和市にある向井診療所の向井將先生です。

舌の筋肉はのどの奥まで繋がっているので、舌の付き方の異常が、のどにも影響を及ぼし、上手に呼吸が出来なくなってしまうのです。起きて意識があるときは呼吸しやすい姿勢を取れるのですが、寝ているときや、授乳中などに問題が現れます。

しかし現状、医学会の大半は、上記で引っかかった方と同様、これにピンと来ていないようです。というか「舌癒着症が呼吸障害を起こす」という見解に対して否定的です。

「舌癒着症」という概念を病気と認めるかどうか? 認めるとしたら、それは舌オンリーの問題なのか、喉頭偏位による呼吸障害も伴うのか? といった認識が医師によって違っているのが、舌癒着症の現状です。命に関わる病気であるという確証もないのに、小さい子にメスを使うことには反対である、と考える医師もいます。

※もっと詳しく→舌癒着症とは

どんな症状?:舌と無関係に思える症状も、舌癒着症が原因かもしれません

呼吸が上手にできない、という状態は、人間の生理機能のさまざまな面に影響を及ぼし、いろんなトラブルの元となります。しかも、向井先生によるとヒトの94%は舌癒着症を持っており、全体の27%は重度の舌癒着症だとされます。

4人に1人が、このほとんど知られていない障害のヘビーなやつを持っており、知らずに暮らしている。または別の病気だと思われていたり、具合が悪いのに「原因不明です。とりあえず様子を見ましょう」などと言われているのだとすると、なんとも言えない気持ちになります。


例えば、呼吸障害で酸素が十分に体を巡らないことから、赤ちゃんの手足が冷たくなったり、チアノーゼなどの症状が現れます。これらは小児科に行くと循環器系の障害だと疑われることもありますが、循環器系の検査を一通りやっても異常が見つからない場合、実は舌癒着症が原因だった、という可能性があります。わが家の息子がそうでした。

また、おっぱいを上手に飲めない、哺乳時に苦しそうにしたり、飲みながらすぐ寝てしまう、といった症状もよく見られます。これらは肺や気管支など呼吸器系の障害だと疑われることもありますが、呼吸器の検査を一通りやっても異常が見つからない場合、舌癒着症が原因である可能性があります。わが家では呼吸器の検査もやりました。

呼吸障害による酸素不足はそのほかにも、心の成長に影響して「キレやすい」子どもを作る下地となったり、逆に引っ込み思案で気が弱い子となってしまったり、代謝が不十分なことからアレルギー体質になりやすかったり、さらに長じては睡眠時無呼吸症候群の原因になったりもするそうです。

このように身体の異常が心にも影響を及ぼすのは、例えば「おなかが空いているときは怒りっぽくなる」とか、「眠いと正常な判断ができず、ヤケになりがち」といった現象を考えると、納得できることです。

こうしたさまざまなトラブルに心当たりがある場合、舌癒着症が原因となっている可能性を考えてみると、解決の糸口が掴めるかもしれません。

※もっと詳しく→赤ちゃんに見られる舌癒着症の症状

ただし上記で「舌癒着症の症状」として挙げているものの全てが、本当に舌が原因だとは限りません。本当に循環器や呼吸器の異常である場合もありますし、これらの問題が舌癒着症の治療で100%改善するとも言い切れない、というのが現実です。

治療法は?:舌癒着症に詳しい医師を選びましょう

「舌癒着症かな?」と思ったら、お近くの小児科ではなく、舌癒着症による呼吸障害に理解のある病院に行きましょう。上記のように舌癒着症は複雑な事情を抱えているため、並の小児科ではたいてい「舌癒着症? んなこたーない」的な診断になるようです。

また、舌癒着症を一応知っているレベルではダメで、呼吸障害のレベルまで認識している先生に診てもらうべきです。

※もっと詳しく→どこの病院に行けばいい?

当サイトでは、「舌癒着症の手術があらゆる症状を改善できる。だから絶対やるべき!」などとやみくもに手術を勧めるつもりはなく、できるだけ中立的な視点を保ちます。可能な限りあらゆる視点からの情報を集めて、できるだけバイアスをかけない形で整理して、ご提供しますから、後はご自分で(医師と相談しつつ)判断してください、というのが基本的な姿勢です。

前述のように舌癒着症の手術に反対する専門家もいますし、必ずしも、舌癒着症の手術が全てを解決してくれるとは限りません。また、私は責任を持って手術をおすすめできるような立場でもありません。


周りの人に教えてあげてください。また、体験談をお聞かせください


舌癒着症は、潜在的な患者はものすごく多いはずなのに、ビックリするほど知られていない、という非常に特殊な状況にある病気です。周りに育児で悩んでいる人、心当たりのある症状の人がいたら、ぜひ、ひとつのヒントとして、この病気のことを教えてあげてください。

一方、舌癒着症なんて本当にあるのか? 信じられない、という人も当然いると思います。当事者でない人が唐突にこんな話をされてもピンと来ない・信じられない、というのは普通の反応でしょうし、また、生まれたばかりの赤ちゃんに手術を受けさせることに抵抗を感じる、ということもあるでしょう。

こうした人たちに十分な判断材料を提供するためには、実際の治療体験、事例をたくさん集めることが必要だと考えています。

※もっと詳しく→手術の体験談

もし、舌癒着症の治療を経験した方がこのサイトをご覧になっていたら、ぜひ、メッセージや掲示板から体験談をお聞かせください。

また質問等に対しては、私は医療の専門家ではありませんが、答えられる範囲でお答えします。

舌癒着度について

舌癒着症の程度が測定され、度数として示されます。

詳細は調査中です。

こんな感じのようです(参考)。

●舌小帯の付着位置
膜3度 舌小帯が下顎歯肉内縁から始まっているもの
膜2度 舌下小丘から始まって舌先端部に付着しているもの
膜1度 舌下小丘から始まって舌尖2分の1以下で終わっているもの
膜0度 舌小帯が無し、もしくは瘢痕のみ

●舌の自由部の始まる位置
底3度 舌底部が舌下襞から始まっているもの
底2度 舌底部が舌下襞から5mm以内離れているもの
底1度 舌底部が舌下襞から5mm以上離れているもの

生後2か月。舌が再癒着!?

やはり問題は耳鼻科系では……(喉がゼロゼロ言う症状も続いていたし)ということで、今度は向井先生のお弟子さんにあたる先生が都内にいると紹介され、都内の耳鼻科(桑島耳鼻科。現在、ここで舌癒着症の治療をしていた山西先生は独立して開業されています)へ行くことになりました。

すると、いちど手術した舌が再癒着しているとのこと。向井診療所では術後1か月の検査でも異常なしだったのに……と言ったのですが、その後に再癒着したのでしょうと言われました。

授乳中の血中酸素飽和度を見てみると、最高でも97%程度で、時には92、3%になることも。正常な子は98~99%といういことですから、明らかに問題です。最初の手術である程度は改善したものの、舌の使い方が下手でうまく動かせないままだったので、かなりの部分が再癒着してしまっていたようです。

再手術するかどうかは親の判断しだい、と言われましたが、あの酸素飽和度の数字まで見せられて手術を拒否する理由がありません。すぐに手術をお願いしました。

生後3か月になる1週間ほど前に再手術。翌日の検査では、舌をかなり強く引き剥がして再癒着を防ぎます。いやー、あんな剥がし方は素人が自分の子どもになんてできませんわ……。大岡越前なら、ここまで剥がせない方を本当の親認定するはずです(妻談)。向井診療所でもこのレベルで剥がすことを求めていたのなら、そら無理やで……と思いました。なぜか関西弁で。

山西先生にはその後も風邪をひいたときなどにたびたびお世話になっていますが、息子はすっかり顔を覚えて、先生の顔を見るだけで号泣するようになってます。

手術後は、肌の色が良くなり、大理石様皮膚やチアノーゼも、ほどんと見えなくなりました。でもまだおっぱいやミルクはあまり上手に飲めないし、体重もそれほど増えていません(この時点で4,000g前後)。


恐怖の3か月児検診


3、4か月児検診の期日が迫ってきていました。私は行かなかったのですが妻は前からかなり心配していて、案の定大変な目にあって帰ってきたようです(が、覚悟をしていたので予想以上のダメージではなかった様子でした)。

この検診では赤ちゃんの発育(体重の増え具合)を見て、問題アリとなった場合は母親に栄養指導などをするそうですが、あまりに発育が悪く、疑り深い職員に当たった場合には、虐待が疑われて母子が引き離され、強制入院となってしまうケースもあるんだとか。わが家では幸いにもそこまでひどい職員に当たることはなかったのですが、それにしても栄養足りてないぞ親は何やってんの、的なことを言われたそうです。

具体的には、こんな感じだったそうです。

・身長体重、頭囲胸囲の測定、小児科医の診察、保健婦の育児相談と、流れ作業で係りの人に息子を渡すたびに「あら? 小さいのね。産まれたとき小さかったの? (問診表をみて)むしろ大きかったのに!?」と、親は何をしているの、とでも言いたげな目で見られた
・小児科医と保健婦に舌の手術を伝えると、「ああ~…」とやっちゃったのね的ため息をつかれた
・同じ月齢の子たちのぷくぷくぶりを見てへこんだ
・帰りに、しつこく保健所の育児相談や診察を受けるようすすめられた

現在の赤ちゃんの発育基準というのはミルク育児が基準で栄養過剰気味である、とのことですが、まあそれにしても息子の発育が悪かったのは事実でしょう。親のアレさが原因で育たない子を出してはいけない、という行政の立場も想像できますが、結果の数字だけ見てできる努力はちゃんとやってる親を凹ましてどうするよ、という気分でもあります。困ったもんです。


ようやく体重5,000gを超えて体力がついた!


この頃、妻は、いつも「体重が5kgを越えれば力もついておっぱいが飲めるようになる」ということを言っていました。私はあまりこの根拠を理解できていませんでしたが、確かにそうなりました。

体重が4kg台後半になった頃からミルクを飲む速度も上がり、40~50分かかっていたのが20分ぐらいに、やがて10分そこそこで飲めるようになりました。きっと、おっぱいを飲むのも同様に上手になっていったと思います。

後に私自身も手術をして経験したのですが、舌の手術後の違和感というのは、けっこう後まで(1か月以上も)残ります。二度目の手術は「手術をしたらすぐにおっぱいが飲めるようになって体重もぐんぐん増える」ということを期待していたのですが、そもそもそういうものではなかったようです。手術直後は前よりもおっぱいを飲むのが下手になり、その後、徐々にうまくなっていくそうです。

また、舌癒着症の手術は第一に呼吸の改善が目的であり、「すぐに体重が増える」という期待は、そもそも過剰というか目的外というか、的外れなものであった、といえます。


7か月検診。舌癒着症に理解のない小児科医でまたもやひどい目に

母子手帳には成長曲線を書く欄がありますが、7か月ころになると、それまでずっと体重の正常範囲を下回っていた息子の体重が、範囲内の下の方に入るようになりました。なので、7ヶ月児検診のときには、妻は何の心配もせずに、近所の小児科へ行きました。

ところが、その小児科は舌癒着症に否定的な医師だったので、病歴として舌の手術をしたことを伝えると態度が一変! 範囲内とはいえまだまだ痩せすぎ赤ちゃんだったのもあってか、まるで子供を虐待したかのような態度を取られたそうです。

その時には、またまたかなり凹んだようですが、後から別の小児科にかかったところ、いろいろと古い情報のまま診察している先生(予防接種後の指示が違っていたり)なのだとと解りました。

舌癒着症については否定的な小児科医が多いと聞いていたので、息子が体調を悪くしたときや三種混合ワクチンなどの予防接種を受けるときも、妻はそれぞれ違う近所病院に行って、舌癒着症に理解のある、安心してかかりつけにできる病院を探していました。その結果、大きな病院や新しい病院の比較的若い先生のほうが理解があるようだ、という傾向が分かってきました。

中には舌癒着症の手術をしたと聞くと、手術ができる病院を紹介してほしいと言ってくる先生もいたそうです。


9か月検診は余裕でクリア

生後半年頃から離乳食を食べ始め、7か月になってハイハイをするようになったら、体重が増えるペースもかなり上がりました。体力がついたぶんいろいろ大変になった面もありますが^^; やっぱり元気なのはいいことです。9か月児検診時には、発育状態はほぼ平均レベルになり、知的発達も問題なし。先生に褒められるレベルになりました。


まとめ


他の方の舌癒着症手術体験記には、原因不明のひどい症状に何年も悩まされてきた家族が「舌癒着症」という病気を知り、手術を受けたことで劇的に改善した……というドラマチックな話もあります。でもわが家の場合は、幸いにも、そこまで大変なことはありませんでした。

ひどい湿疹とかアレルギーといった分かりやすい症状もなく、呼吸が改善したらしい様子や、顔つきの変化などは見ていますが、いずれも微妙な変化です。また、生まれてからほんの3週間で手術をしてしまったので、術前・術後の比較があまりできていません。

こういう認識は、舌癒着症治療に関するひとつの落とし穴だ、ともいえそうです。手術後の見た目の状態の変化というのは、気を付けてよーく見ていないと分からないもので、2回の手術とも、術前・術後の変化については妻に聞かないと分からなかったこと、先生に聞いて初めて気づいたことが多くありました。

おそらく舌癒着症の治療にあたっては「観察力」があった方がいいです。わが家ではできなかったのですが、手術前後の顔つき、泣き声、寝ている姿勢などの変化を見るために、写真やビデオを撮っておくのも良いのではないかと思います。

もうひとつ「想像力」も重要です。私たちはみんな、生まれてからこれまで、自分の呼吸器でしか呼吸をしたことがありません。だから「今の状態の呼吸は不十分です。手術をすればもっと呼吸できるようになります」と言われて、その状態をうまく想像できるでしょうか? 私は、自分自身が手術をして「もっと呼吸できる状態」を実感するまで、そこについてはずっと半信半疑というか、イメージできないままでした。

最後に、息子の場合は骨盤内の血流の悪さなどの問題もあったし、舌癒着症の手術だけで、全ての問題は解決しなかっただろうと思います。また、おっぱいを吸う力などは成長して体力がつくことも必要で、やはり舌の手術をしたら劇的に成長が促進する、というものでもないようです。逆説的にいえば、舌癒着症を認めない医師の「舌の手術をしなくても成長によって諸症状は(ある程度)改善する」という見解も、そういう意味では正しいのでしょう。

だから、舌癒着症の手術に過剰に期待しすぎないことも大事だと思います。また一方で、手術によって呼吸が改善することは、長期的に見ればあらゆることを少しずつ良い方向に持って行ってくれる、という考え方もできます。

何しろ「衣食足りて礼節を知る」以前に「呼吸」が足りていないわけですから、まずはこれを改善してあげることが、ゆくゆくは「礼節を知る=将来の社会生活の充足」にもつながる、と思っています。


妻のコメント:
3600gで産まれた息子の体重が3200gを割ったときの衝撃は、今もよく覚えています。

体調を崩すたびに後ずさりながら、それでも少しずつ体重が増えていき、4,000g、5,000gと壁を越え、そのたびに「ああ、もうこれで大丈夫」と思いながらも安心できないままでした。

6,000gを超えてからは長い停滞期になりましたが、離乳食を初め、ハイハイが始まってから急激に増えるようになりました。 後になって6k台のよその赤ちゃんを抱っこすると、あまりの軽さに驚きます。身体が息子の重さに慣れちゃってるんですね。

長い間心配してきましたが、今思えば体重が軽かった分、たくさん抱っこできてよかったと思います。(今も抱っこしまくりなんですけれど)

今、出かけた先の授乳室や児童館などで、同じ乳児連れのお母さんとお話する機会がよくあります。

お互い育児についていろいろな悩みを持っていますので、初対面でも話は尽きないのですが、見ていて「この子は舌癒着症なんじゃないかしら?」と思うことがあります。

でも、いきなり「舌癒着症なのでは?」なんて聞けないので、話の流れで機会があれば自分から「うちの子は…」と話すようにしています。 わが子が可愛いのはみんな同じだし、健やかな成長を願うのも同じです。

私達家族と同じような悩みを持ちながら、舌癒着症のことを知らないで悩み続けるのと、知ってはいるけど様子を見るのとは違うと思います。

どうかたくさんの人に舌癒着症のことを知ってほしいと思います。


最後に抱き癖についてですが、「抱き癖」が治すべき問題だとすると、再手術後もあんまり治っていません。4か月頃までレンタルしていたベビーベッドはほとんど出番がありませんでしたし、今でもベビーカーにあまりおとなしく乗っていてくれず、出かけるときは抱っこが多いです。

とはいえ、これは同じ「抱き癖」にしても質が違うんですね。舌癒着症に起因する場合は「呼吸が楽になる姿勢で抱かれていないと息ができないから」抱っこを求めるのであり、親に甘えて抱っこをねだっているのとは違います。

そして、わが家では「子育てハッピーアドバイス」という本を読み、親に甘える抱き癖は問題ではない。求められる限りは抱っこしてあげよう、という考え方でいますから、これはこれで問題ないと考えています。腰が痛いですけど(特に妻の)。

生後1か月。今度は指圧屋さんへ

助産院で1か月検診。ミルクとの混合によって体重は増えていますが、かなりスローペースです。ミルク飲みの下手さは相変わらずでしたから、無理もなかったのでしょう。

一時は良かった手足の冷たさ、チアノーゼ、大理石様皮膚なども、何となく気になるようになってきました(後に再癒着していたことを指摘されることになります)。助産院の先生から「首が肋骨に少しめりこんでるような感じになっている」といった指摘もあり、治療のために指圧屋さんを紹介して貰いました。

この指圧の効果は凄かった。検診の結果、息子は骨盤内の血流が悪いのが消化の悪さに繋がっていて、また、肋骨と首のあたり(だったかな?)が歪んでいたとのことでした。体のあちこちを触って(後日私も受診しましたが、体を強く押したり捻ったりはいっさいなく「軽く触られている」ぐらいの感覚でした)もらうと、みるみるうちに血色が良くなって全身がピンク色になり、首がすっと伸びたように見えました。呼吸も楽になったような感じでした。

その後しばらく、定期的に指圧に通うようになります。ずっと続いていたウンチの出の悪さは、この治療後にかなり改善しました。

助産院での出産にあたっては東洋医学の理論に基づいた栄養指導を受けたり、鍼灸やアロマテラピーをやりました。そして出産後は指圧と、この1年ほどは東洋医学のお世話になりっぱなしでした。


心臓疾患が疑われ、大病院で検診を受けるハメに


生後1.5か月ほど。舌の手術と指圧の効果はあったものの、あいかわらず大理石様皮膚は完全に消えないし、チアノーゼもあり、発育も良くなく、根本的な解決には至っていません。何だかんだあって心臓の疾患が疑われ、大病院の小児循環器科で検査を受けることになりました。

結果としては心臓の異常はナシとのことだったのですが、赤ちゃんの発育が悪いと育て方が疑問視されたり赤ちゃんのあらゆる部分に障害が疑われたりと、親の気が休まりませんね。

大丈夫だろうと思っていても、一応は専門家である人に疑われるのは、親の心臓に良くありません。こうしてストレスが蓄積し、病院通いで体力的にも疲弊して、ますます育児がうまく行かなくなる……という悪循環に陥ることもあるのではないでしょうか。


この後、バセドウ病の影響があるかもしれない……という話にもなりました。甲状腺の病院で妻が話を聞いたところによると、

・赤ちゃんの体重が増えにくいということで甲状腺疾患の検査をするには、簡単な血液検査でできる
・甲状腺疾患が遺伝するかはまだわかっていないが、もししたとしても症状が現れるのは思春期になってからだから、その頃に念のため検査するのでも大丈夫
・甲状腺疾患のある赤ちゃんは顔つきが違うから、見たらすぐわかるが息子は違うから大丈夫だと思う(でも、小児科の先生ではないので断言はできない)
・でも、心配なら一度調べてもらってはどうか?

とのことでした。ですが心臓も問題ないし、体重も少しずつではあるものの増えていたので、検査はせず少し様子をみよう、ということにしていました。

ビッグ赤子誕生。即・要手術

2006年5月、わが家の息子(第1子)が助産院で誕生しました。

妻には甲状腺疾患(バセドウ病)があり、この病気があると発育不良を起こすことがある、ということで産婦人科のお医者さんも気にかけて下さっていたのですが、終始順調に成長を続け、身長53cm、3,600g超というビッグな状態で生まれてきました。ぐいぐいと母胎から出てこようとする姿には、助産師さんが驚いたほどです。

なぜ助産院で生むことにしたのか、という話もひとくさりあるのですが、それは別の機会にすることにして……(ちなみに、「自然な育児」とか「助産院で自然なお産」のような指向をしていたわけでは全くありません。感じのいい産婦人科が見つからず、あちこちに当たった中で信頼して埋める助産院に行き着いた、という感じでした)。

出産後、助産師の先生から「この子は舌小帯(ぜっしょうたい)と上唇小帯(じょうしんしょうたい)が短いから、できるだけ早く切った方がいいわよ」と言われ、言われるままに手術を決め、向井診療所に予約を入れてもらいました。同時にスプーンで舌を持ち上げるように、という指導も受けていたそうです(妻が)。

この時には、妊娠が分かった時から今まで何もかもが驚くほど順調に進んできていたから、舌の手術ぐらいのことがあった方が(簡単に終わるらしいし)逆に安心できるなと、別に気休めとしてでもなく、そう思っていました。まだ舌癒着症による哺乳障害や呼吸障害などについては分かっておらず、単に「舌のつき方がヘン」なのだという認識でした。


向井診療所の予約はちょうど3週間後。その日は聞きなれない「舌小帯」、「上唇小帯」、そして「向井診療所」という言葉をメモして帰宅し、いろいろ検索してみたのですが、向井診療所のなんだか難しげなホームページがあった他は、これといって有用な情報が見つからなかったなあ、と思ったのが記憶に残っています。

この段階で、よく分からないながらも手術を決断した理由は、助産院に持っていた強い信頼感からでした。出産や育児について病院によって医師によっても言ってることがバラバラで、あちこちで話を聞けば聞くほどわけが分からない、誰の言うことを聞けばいいのやら? という状況だったのですが、こちらの助産師の先生は終始親身になって筋の通った納得感のある説明をしてくれ、実際のケアも効果がありました。なので、よほどのことがない限りは、言われたことをやっていこう、と考えていたのです。

しかも、院長先生みずからも少し前に舌癒着症の手術を経験し、ほかの助産師さんたちも次々と手術をして効果を語ってくれて、手術への期待が次第に高まっていきました。


体重が減る一方で……


赤ちゃんは生まれたときに3日分のお弁当と水を持って生まれてくるから、3日間は体重が減っても大丈夫、10%ぐらいの体重減は普通です……と言われます。うちの息子もそういう推移を辿り、また同時に、生まれた時がビッグ過ぎたので、少し糖水(砂糖を溶いたお湯)を足すように指導されました。

母乳+糖水で生後2週間になる少し手前ぐらいだったでしょうか。何日もウンチが出ず、何となくどんんどん軽くなる……と思って体重計に乗せてみたら、体重が出生時より15%近く減っていました。あわてて助産院に連絡し、その日からミルクを足すことに。そうしたらウンチも2日に1回ぐらいのペースで出るようになりました。

いま思えば、この問題は非常に難しいものでした。舌癒着症の子は母乳を飲むのが下手だし、第一子に対して母乳がちゃんと出るか、出ないかという母親側の問題もある。どっちが(またはどっちも?)原因なのか、よく分かりません。とりあえずの解決策として「ミルクを足す」というのは簡単ですが、長期的に見てそれが本当にベストな解決策だったのかどうか、というと悩ましいです。

この頃の私は、赤ちゃんが母乳を飲む技術というのは本能にインプットされているのだから「母乳が上手に飲めない」ということはあり得ない、と考えていて、わりとシンプルに「母乳が十分に出てないからじゃないの?」という思いを持っていました。これが妻にとってプレッシャーになってしまっていたとしたら、全くもって申し訳なかったと思います。

妻のコメント:
妊娠中から母乳育児を目指していたので、こんなに早々に母乳以外のものを与えることについては罪悪感を持っていました。

後に憑かれたように母乳育児についての本を読みあさりましたが、たいていはいかに母乳育児が素晴らしいかを書いているだけで、確かに母乳育児が素晴らしいと思って努力しているのに叶わない人がどうしたらいいかを知ることはできませんでした。

息子はおっぱいを吸うのが下手くそだったので、ただ咥えてやわやわとしゃぶっている程度でした。ぎゅうぎゅうと吸うことは出来ませんでした。


この頃に見られた症状


舌癒着症の子は手足が冷たいとか、体が堅いとか、いろんな特徴があるとされます。が、初子で比較対象がない上に3週間で手術してしまったので、私は手術前後の違いをあまりよく分かっていません。ずっと接していた妻の方がよく分かっていますので、聞いた話を元にまとめてみると……。

大きな口を開けて泣いたとき、舌が丸まってハート型になっている
舌小帯が短いために舌の真ん中が引き攣れてしまいハート型になる、というのは舌癒着症の最も分かりやすい症状です。

おっぱい、ミルクを飲むのが下手で時間がかかり、体重も増えにくい
60ccほどのミルクに40~50分ほどかかるし、途中でウトウトして寝かかってしまうこともあり、ツンツンとつついて起こし、続きを飲ませたりしていました。調べてみると、新生児でも60ccぐらいのミルクは10分程度で飲めるのが普通だそうですから、それだけ飲むのが下手だったのでしょう。

ミルクを飲むのが下手で、途中で疲れて寝てしまい、十分な栄養を摂れなくて発育不十分、というのはいま思うと典型的な舌癒着症が原因で起こるトラブルです。とはいえ、これは舌の手術だけでは完全解決しませんでした。

手足が冷たく、まだら模様(大理石模様)
太ももまで冷たかった。

身体をつっぱらせていて、抱いた感じが硬い。抱き癖、向き癖あり


おっぱい、ミルクを飲むと喉がゼロゼロ鳴る
飲んだ後、呼吸をするたびに、たんがからんだような音を立てていました。

やけに寝相が悪い、寝返りをする。いびきをかく
寝返りは通常、生後5か月頃から始まるものですから、新生児が寝返りを打つのは異常です。背中を反らせたり、ぱたんと半回転したり、いま思えば息ができずに苦しんでいるような感じ。手術後に見られるようになった、普通の赤ちゃん寝返りとは異質な寝返りでした。

また、夜中に5、6時間続けて寝ていました。これは親としては楽でいいんですが、赤ちゃんは3時間ぐらいごとにおなかを空かせて起きるのが正常ですから、やはり問題のある状態だったのだと思います。理由はよく分かりませんが、疲れすぎか消化不良だったのかもしれません。手術後しばらくしてから、夜中にもよく起きるようになりました。

ニアミス?
いちど、寝ている途中で突然苦しそうに体を反らせてゲホゲホと何かを吐き出し、火がついたように泣き出したことがありました。こういうのをニアミス(乳幼児突然死症候群で死亡する前に、親が気づいて助かったケース)と言うんでしょうか。ヒヤッとしました、そして、これも舌の手術で良くなるのなら、一刻も早く手術しなければ……、と思いました。手術後、こうした状態は一度も起こっていません。

泣くときに呼吸が止まる、憤怒痙攣のような症状
憤怒痙攣は「泣き入り引きつけ」とも言い、恐怖や怒りなどによって激しく泣くときに呼吸が止まり、低酸素状態になってしまう症状。生後半年~2歳ころに起きるもので、新生児が憤怒痙攣を起こすのはおかしいようです。

憤怒痙攣のような症状を起こすたびに「ほら息して!」とあわてて背中を叩いたり、よくしました……。が、舌癒着症が原因なのか、赤ちゃんは誰でもこんなものなの(泣き方含めて)か、最初はよく分かりませんでした。

生後すぐに私がひとりで子守をすることになったとき、何をやっても泣き止んでくれなくて、あのときは心底困りましたね……。まだ付き合いが浅いから、なんで泣いてるのかもよく分からないし。ひと月ぐらいした頃にはだいぶ付き合い方が分かってきましたが、それが手術の影響なのか、そうでないのかは不明です。

M禿げ
笑福亭鶴瓶のような生え際。胃腸が弱い子に特徴的なものであり、舌癒着症の子の特徴のひとつでもあるそうです。順調に発育する子でMハゲの子はいない、のだとか。

妻のコメント:
息子が産まれたとき、髪の毛がフサフサしているのを見て驚きました。私が赤ちゃんのときはたいへん髪の毛が薄く、七五三のときにもかんざしが止まらず親を心配させるほどだったからです。

きっと私に似て髪の毛が薄い子だろうと思っていたのでホッとしたものの、額が広くこめかみから頭頂部にかけて部分的に薄く、息子はいわゆる「Mハゲ」の状態。赤ちゃんなのにオジサンぽい髪型が微笑ましく感じられました。

また、息子は産まれた翌日に寝返りをして、布団から一回転して落ちたことがあります。なんて元気な子だろうと思い、親や友人たちに自慢したものでした。

でも、後から考えると、寝返りをして布団から落ちたのは、呼吸がし難くて苦しんでいたからなんですね。
舌癒着症の赤ちゃんは身体が硬く、横に寝ていると呼吸がし難くてたて抱きにされたがるんだそうです。せっかく産まれてきたのになんだか苦しくて、息子が布団から落ちるほど寝相が悪かったのは呼吸困難でのたうちまわってたからなのだと思うと、申し訳なくて胸が痛みます。


生後3週目。長距離タクシーで向井診療所へ


さて生後3週間になり、向井診療所に行く日がやってきました。わが家のある東京都心部から向井診療所のある大和までは、小田急線のロマンスカーで行くのが良いということでしたが、診察開始時刻に合うちょうどいい電車がないのと、周りに風邪をひいた人がいたらアウト、という話を聞いて心配になったのとで、タクシーで行くことにしました。

普通、生後3週間の子を外に連れ出したりはしません。だから心配で心配で……。妻もまだ体力が回復しきっていませんから、できるだけ歩かないですむように、という理由もありました。

とはいえ長距離タクシーはお金がかかりますから、ネットで探して、格安料金の業者を探しました。サイトによると障害者用の設備がついた車両なども持っていたりして非常に弱者へのケアが行き届いてる雰囲気を出していたんですが、「新生児を乗せるので」と断って予約したのに煙草臭い喫煙だし……。いま思えば「禁煙車両で」と明確に依頼しなかったのでアレなんでしょうけど当時は大変ナーバスになっていたので、このタクシー業者は二度と利用しないことにしました。

ちなみに、標準的な料金のタクシーで都心部-大和は15,000円ほど。低価格タクシーだと13,000ちょっとぐらい。わりと差はありませんでした。


向井診療所は怖かった


心配した渋滞もほとんどなく、診察開始の1時間以上前に向井診療所に到着。車中では静かに寝ていてくれた息子ですが、降りたとたんに号泣。まだ開いてない病院の前でミルクをどうしよう……とかオロオロしていると、両手の指を口に入れて勢い良くチュパチュパしだしました(0か月児は普通、指しゃぶりをしません。これは呼吸が苦しいか、あまりにもひもじかったためだと考えられます)。この時はホントに悲しかったですね。

おなかの中にいたときは、臍の緒から酸素も栄養も十分に貰って、平均よりもずっと大きく成長していたんですよね。それが外に出てからは、酸素も十分に吸えず、栄養も摂れずでどんどん小さくなってしまって。あんなにがんばって生まれてきて、こんなことになるとは本人も思ってなかっただろうなあ、とか思うと……。まあ、とにかく手術すれば良くなるだろうと、そう考えるぐらいしかできませんでした。

妻のコメント:
このとき、授乳用スカーフを持って行って早朝の玄関前でおっぱいをあげました。でもあれ、かえって「私授乳してますよ」って宣伝してるみたいで恥ずかしいですね。いま思えば、その後に買ったような授乳服(こんなのとか)でちょちょいのちょいなのにな。

この時の荷物は、1日分の宿泊用品(手術の翌日に検査があるので、一泊する予定でした)のほかにミルク道具一式、消毒用にミルトンを溶いたボトルを持ってきたり、と大変な大荷物でした。なんとか院内に入ってミルクを作り、ひと段落……。

向井診療所は打ちっぱなしのコンクリートがよく言えばモダン、悪く言えば殺風景な建物。舌癒着症の手術を大量にこなすためか妙に事務的な職員や素っ気無い看護師さんの態度と相まって、後者の、殺伐とした印象が強いです。

私たちが行ったときには、乳児の舌癒着症は月曜に行われており、午前中に診察をして午後に手術というスケジュールでした。

診察は、鼻の穴からファイバァースコープを入れて喉頭の様子を観察し(当然子どもは大泣き)、これは親も一緒に見せられます。息子は喉頭の上に何か(忘れました)がかぶさるような感じになっていてのどの奥にある気道が見えず、不自然な喉頭の状態で泣きすぎているためポリープができていると(それは手術すれば自然に治ると)言われました。その後、もちろん舌の状態も診察します。

その後、授乳中の酸素飽和度を計ったり、手術の説明を受けたりして午前中の診察は終了。午後の手術開始までしばらく待ちます。3、4時間ほどあったかな? 診療所内で待たせてもらえるので、ビクビクしつつ待ちました。2階の待合室には「べろのせんせい、ありがとう」なんて子どもが描いた絵が貼られていたりしました。

午後は、近くの薬局で薬(感染症予防の抗生物質と痛み止めの座薬)を買い、母親に連れられて2階の手術室へ。手術自体は一瞬で終了し、手術後に母乳またはミルクを20cc(50ccだったかも?)飲めた時点で解放してもらえます。母乳のお母さんもいるので、父親は2階には入れてもらえません。

おでかけ用品のまとめ:
●手術後はミトンが必要になります。要は指を口の中に入れられなくすればいいので、きれいな靴下でも代用可です。わが家は靴下を使いました
●抗生物質(粉薬)を飲ませるために、スポイトやおくすり用ゼリーも持っていきましょう


手術の様子


妻から聞いた手術の様子です。

おむつ換えの準備と、ミルクの子はミルクの準備をして2階に集合します。実際にはミルクに関して事前に説明がなく、後で(私も含め)えらい目に遭いました。しかも手術は月齢が若い順に行なわれ生後3週間の息子は1番だったし、流れ作業チックで看護師さんは荒っぽいしで、本当に大変だったようです。

手術直後、帰ってきた息子を抱いた妻は「ふにゃっとして、つきたてお餅のように身体が柔らかくなっていたのにびっくりした」そうです。また、おっぱいを咥えたときには、一瞬だけ痛そうに顔をゆがめて離したけど、すぐに吸い付いてちゅうちゅう吸い出し、今までとは比べ物にならない強さだったそうです。

全員の手術終了後、看護師さんから「新生児のうちは手術をしても何もわからないけど、これが3か月頃になると、自分が痛いめにあうのは親のせいだというのがわかってくる。親がそれを許したために、自分がひどいめにあうんだとわかっているので、手術をした理由などきちんと説明してあげるように」という意味合いのことを言われたそうです。確かに、そういう説明は大事ですね。あと、術前、術後にアンケートを取られます。症状と改善例のデータを集めるためでしょう。

手術後の診察で、のどのファイバースコープ映像で気道が見えることを確認。授乳中の酸素飽和度が99%になっているのも確認。傷口に手で触れないようにミトンをつけるように、授乳の前には乳首の消毒をするように、等の指導を受けて帰ります。大和駅周辺でミトンを探しましたが見つからなかったので、靴下を使いました。

その日は大和第一ホテルで一泊。向井診療所には遠くから手術に来る人も多いので、タクシーもホテルも「向井診療所」というとだいたい話が通じます。


手術後の変化


手術直後の私が見た印象としては、何となく顔色がいいような、少し目の輝きが違うような……といった感じ。明らかに違ったのは、抱っこひもにおとなしく入ってくれるようになったこと、少しあごのラインがほっそりしたことでした。

抱っこひもについては、それまでは抱っこひもに乗せられると気道が確保できず苦しかったのが、手術のおかげで大丈夫になったのだと思われます。あごのラインがほっそりとして顔つきが変わり、ちょっと「赤ちゃん」から「少年」ぽくなりました。

妻が見た変化としては、

抱いた感じが柔らかくなった
おっぱいを吸う力が強くなった
手足と顔の血色がよくなった
目をぱっちりと開けてまっすぐこっちを見るようになり、二重になった

また、泣いたときに舌が丸まってハート型になるのは、変わらなかったそうです(私は覚えてません……)。


手術直後は痛みで泣くそうなので痛み止めを使い(座薬を1/2に切って入れます)、ホテルのコーヒー用湯沸し器で哺乳瓶を何度も熱湯消毒しつつ、その日を過ごしました。

翌日は朝から検査。舌と喉頭の状態を診ます。鼻からファイバースコープを通して気道を確認し、授乳中の酸素飽和度を計ったりして、異状なしということで解放となりました。

手術後の検査は翌日、1週間後、1か月後に行います。1週間後の検査も長距離タクシーを利用し、1か月後の検査の頃にはよく散歩に連れ出すようにもなっていたので、小田急線(普通電車)を利用しました。

ちなみに、向井診療所で鼻吸い器を買わされて鼻吸いを習い、手術後1週間ぐらいは毎日スプーンで舌を持ち上げる(手術した部分が再癒着しないように)ようにと言われます。我が家では鼻吸いはほとんどやらなかったし、スプーンでの持ち上げはたいして意味ないかもしれません。このあたり詳しくは後述します。

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